芸工展とは

「まちじゅうが展覧会場」のキーワードを掲げた谷中芸工展(現在は芸工展)は、平成5年(1993年)に産声をあげました。毎年10月、2週間にわたり、谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈を舞台に開催されています。

芸工展はまちに暮らす人々の日常の創作活動や表現を大切に紹介し、まち内外の多くの人がまちの魅力を語り合う場を、また「日常の延長としての表現」を通して、まちの様々な人が互いの生活を理解し、認識を深めていく交流の場を目指しています。

芸工展の参加者は、筆や彫金、せんべい、鼈甲といったこのまちに根付く職人の技の他、まちに点在するギャラリーでのジャンルを問わない展示やアーティストのアトリエの公開、路地や街角でのワークショップ、また自宅の一室で行う展示などの自主企画からなります。十数店の参加者とはじめた芸工展は、現在100企画を上回るまでに拡がり、訪れる人々にとってまちの未知なる魅力を発見する場となっています。

               

芸工展のなりたちと願い

           

芸工展の開催地域である上野台地から本郷台地にかけて広がる傾斜地一帯には、江戸時代からの名残が今も息づいています。

まちの生活文化、自然、地形、家並み等の調査研究に端を発した「谷中学校」は「まちから学んだことを、まちへ返していく」ことをテーマとし、様々な活動を続けてきました。その取組みの一つとして、1993年5月に一つのギャラリーでまちの人々の作品を展示する形で『谷中芸工展』は始まりました。

翌年、『谷中芸工展』は、「まちじゅうが展覧会場」をキーワードに、まちへ飛び出しました。表現者たちの作品はもちろん、職人の技が光るものたち、そもそもこのまちの生活文化そのものが作品ではないか。谷中界隈から周辺へと拡がり『芸工展』と名前を変えた現在も、そんな想いと形を継承しながら毎年開催しています。

芸工展は、「実行委員が器を作り、その中に参加者を募る」という形ではありません。参加者も、来訪者も、まちの人も、実行委員も区分せず、芸工展がまちをつなぐフラットなプラットホームになれないか。そんな想いを持ち続けて、今年も芸工展がはじまります。

「見て楽し、参加して楽し、芸工展」

ガイドマップを片手に、様々な人やまちの出会いに喜びが訪れますように!