芸工展2008 −谷中、根津、千駄木、日暮里、上野桜木、池之端−

「まちじゅうが展覧会場」をキーワードにより平成5年にスタートした谷中芸工展は、昨年で15回目。毎年10月のはじめに2週間にわたり台東区谷中界隈を舞台に開かれています。

今年2008年は谷中芸工展の「谷中」という冠を外す事になりました。一重にこれまでの出展者や関係者来場者の方々のご協力があってきましたが、芸工展の会場地域の拡大、出展者の方々の企画が100を超え事もあり、そこで15回という区切りを持って 芸工展2008として新しいスタートを切る事になりました。

「素(す)」に帰ろう

谷中芸工展は平成5年6月、まちづくりグループ「谷中学校」の活動の一つとしてはじま
りました。
上野台地から本郷台地にかけて広がる傾斜地一帯(上野桜木、日暮里、谷中、池之端、根
津千駄木界隈)には江戸時代からの名残りが今も息づいています。このまちの生活文化、
自然、地形、家並み等の調査研究に端を発した「谷中学校」は、 この地域の様々な人々
に支えられながら、「まちから学んだことを、 まちに返していく」ことをテーマとし、ま
ちに息づく有形、無形の魅力の再発見、継続、そして未来に向けての創出を目指した実践
的発信活動を続けてきました。
谷中学校の活動を地域へと広げていく取り組みの一つして、谷中芸工展はまず一つのギャ
ラリーでのまちの人々の作品展示としてはじまり、2年目からまちへと飛び出しました。
まちの中にある店やギャラリーを巡りながら、同時に路地や住まい、家のまわりの植栽な
どまちの人が手をかけ大事にしているもの、職人の仕事が見える店のつくりなど、谷中の
まちを形づくる空間を自分の足で歩いて体験し、自然に地域の文化を再発見すること、そ
れが谷中芸工展の目指したものの一つです。 毎年秋、谷中学校から半分独立したかたち
の「谷中芸工展実行委員会」として有志が集まり、 この界隈の祭りとして長年続いている
谷中まつりや菊まつりと時期を合わせて、芸工展は行われてきました。
途中、それまでの参加をお願いする形から自主参加を基本とする形へと改め、参加者一人
一人がつくる交流の場としての芸工展を目指し、古くて新しい個の表現、日常の空間に新
たな価値を見いだす表現、住む人、訪れる人が同時に出会え、交流できる企画、常設と限
定企画のコラボレーションの創出を目的に、実行委員会は発信し参加を募ってきました。
約10日間の谷中芸工展を15回目まで継続してきたことを通じて、その目的はほぼ日常的
なものとしてこのまちに定着をし、まちの変化に繋がってきたと感じています。
そして、谷中芸工展がこれまで15年間継続してこれたのは、単にまちの方々の日々の支え
の力によるだけではなく、これまでの多くの方々がこのまちの中で活動を行ってきたその
歴史の積み重ね、受け皿があったからだと、われわれは考えています。
今年2008年は実行委員会の中で話し合い、谷中芸工展の「谷中」という冠を外す事にな
りました。芸工展の会場地域の拡大、出展者の方々の企画が100を超えた事もあり、15回
という区切りを持って芸工展2008として新しいスタートを切る事といたしました。
「素(す)」に帰ろう。「素」とは芸工展の原点である素人、素材そして素敵の「素」。
この言葉をテーマとして、参加者・来訪者・まちの交流が主役となるためのシンプルな芸
工展を目指して、芸工展2008はスタートしました、
芸工展は、谷中学校の活動の一つとしてはじまり、これまで実行委員会として集まった有
志が主体となって行われてきました。しかし、「実行委員が器を作り、その中に参加者を
募る」。芸工展のかたちはそれだけに限られるわけではないのでは、われわれはそう考え
ています。実行委員も、参加者も、来訪者も、まちの人も区分せず、芸工展がまちをつな
ぐフラットなプラットホームになれないか。それはまた芸工展の原点に立ち戻ることを意
味するのではないでしょうか。そんな思いを持って、今年の芸工展は動き出します。
2008年6月 芸工展実行委員会